Sunday, October 6, 2013

【立ち上げ準備 vol.15】販売商品パートナー探し(2)


前回のダラット出張からちょうど1週間経ち、今回もまた夜行バスに10時間程揺られ、コーヒーの生産で有名な街バンメトートに行ってきました。
今回は商品パートナー探しというよりは農業の現場を勉強するための出張でした。以前よりお世話になっているニコニコ野菜の塩川さんの善意で、バンメトートで栽培している無農薬野菜の農場に同行させて頂きました。

ニコニコ野菜は無農薬、無化学肥料を徹底した野菜栽培を生産しているだけでなく、販売まで一環して行っているユニークな会社。社長の塩川さんは僕の2つ上なのですが、ベトナムにはもう10年近く住んでらっしゃりベトナム語も堪能。スタッフも彼以外ほぼ全員ベトナム人です。

ニコニコ野菜の塩川さん

ベトナムの地方に行くとよく目にするのが、一面雪が積もったような白い畑。
この白い粉の正体は実は全部化学肥料です。
また、ゴーストバスターのような格好して霧状の農薬を4~5人が一列で散布している姿なんてみると、これは本当に食品を作っているんだろうかと疑いたくなります。

「ただ単に野菜を作ってるんじゃなく、僕達は安全を作ってるんだ」
という塩川さん。
元々、日本の大学で環境学を選考しており、環境保護そして人間の健康という観点から無農薬、無化学肥料の自然な野菜作りを始められたそうです。

きれいに整備された農場

苗を育てるビニールハウス

有機野菜を食べて育つ豚もいます

そもそも農薬や化学肥料を完全にゼロにすることがいいのかというと、必ずしもそういう訳ではありません。
安全とされている農薬を、基準量を守って使用すれば人体への影響はありませんし、悪天候や害虫に負けず安定的に栽培することができます。また肥料も同様で、有機肥料でなく化学肥料を使用すればコストは20~30分の1に抑えることができ、販売価格も低くできます。

ただ、「これは使っていいけど、これは駄目」のように基準を曖昧にすると、相当しっかりした管理者と管理体制がないと、ベトナムではルールを守り続けることが難しいとのことです。

ニコニコ野菜では、少しずつですが本当に信頼のできる農家を選び、無農薬、無化学肥料農法を取り入れるパートナー農家を増やそうとしています。
今回塩川さんがバンメトートに帰られたのも、そういったパートナー農家との月次定例ミーティングに参加するため。定期的に情報交換や技術指導を行い、生産者ネットワークの拡大を進めているとのことでした。慣行農法から無農薬に変えたところ、生産者やその家族にも害のある農薬の散布を止められただけでなく、売上も倍になった農家さんもいるとのこと。

パートナー農家との生産者ミーティング

パートナー農家の畑を見学

パートナー農家のフイさん(左)

自社農場、パートナーの農場で収穫された野菜は、夕方にニコニコ野菜のオフィスに集められ箱詰めの作業が始まります。まず水で洗って土を落とし、配送中に悪い菌が繁殖しないよう野菜をさっとお茶につけます。そして野菜が傷まないよう発砲スチロールに氷を入れ、ホーチミンの出荷オフィスに送ります。

野菜の収穫。これはいんげん豆。

野菜を洗った後にお茶に通します

1つずつ丁寧に野菜を箱詰め

スーパーで買う野菜を見て分かるのは、値段と賞味期限、あとは色と形くらいでしょうか。日本では公式の有機野菜マークが付いていたり、おいしっくすでは使用農薬○○割減などの情報も公開されています。

ただそういった左脳的な情報よりも、その野菜を作っている生産者の顔がわかることや、今回の様に実際に農場に行って栽培の様子を見学する右脳的な情報の方が何倍も受ける安心感が違います。また心なしかそちらの方が野菜も美味しく感じます。

顔の知っている農家さんから新鮮で美味しい野菜を買う。本来ならそれが理想的な姿なのですが、分業化され便利になったいまの世の中ではそれも無理な話。ただ、テクノロジーを使って生産者と消費者を再び繋げる成功例は世界中でいくつも生まれています。

今回、生産者の方々と会って、話して、お酒を飲んで、そういった世界がベトナムにも早くくればいいのにと改めて思いました。食品はスーパーの棚の前に立つだけではわからない世界がたくさんあります。そんな世界を知ることで、人の食生活は何倍にも豊かになるんだと思いました。

改めまして、今回お忙しい中ご案内してくださったニコニコ野菜のスタッフの皆さん、塩川さん、ありがとうございました!

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