先週末に
Startup Weekend Manilaに参加してきました。
日本でも知名度は高いので知っている人も多いかと思いますが、
Startup Weekendというのは世界各地で行われているイベントです。
"No Talk, All Action. Launch a startup in 54 hours"というテーマの通り、
金曜から日曜までの週末3日間で、チームで自分達のビジネスのプロトタイプを作り、
それを最終日にVCの前でプレゼンするという、結構ハードコアなビジコンです。
東南アジアのスタートアップシーンは日に日に盛り上がってますが、
自分はオペレーションチームの運営という仕事柄、普段の仕事ではスタートアップ系の人達と関わることがあまりないので、今回思い切って単身乗り込んできました。
結果からいうと、TraqMeという位置情報系のアプリで、
光栄なことに全体評価は20チーム中3位、
それプラス Best Windows Phone Startupという
特別賞も頂きました。
結果だけみてみるとよくやったように見えるのですが、
実は最終プレゼンの前日深夜にビジネスアイディアを変えたり、
プロトタイプもプレゼン時には殆ど完成してなかったり、
プレゼンは僕がやったのですが、緊張してチグハグだったり、
結構いろいろ大変でしたw
基本的なStartup Weekendの流れは、
1. 参加者が会場に集合
2. ビジネスアイディアを持っている人が参加者の前で1分間のピッチ
3. 参加者が気に入ったアイディアに投票
4. ジャッジ投票数上位のアイディアを選出
5. 当選されたリーダーがチームメンバーを採用、チーム作り
6. ビジネスアイディアのブラッシュアップ、プロトタイプ作り
7. メンターからのアドバイスセッション
8. 最終プレゼン
という感じです。
1 - 5は初日の夜に全部終わるので、
残りの50時間は全て6, 7に時間を割く感じです。
イベントの流れやビジネスアイディアの評価ポイントなどは、
Startup Weekend Singaporeに参加した小堤さんが詳細にまとめていらしたので、
そちらを見て頂ければと思います。
なのでここには備忘録として個人的に感じたことをまとめておきます。
実践が全て
今回、自分も初日にピッチしてそのアイディアが選出され、
自分がリーダーとしてチームを引っ張っていくことになりました。
一応自分はVoyage Groupという日本のベンチャーの社員ではあるんですが、
インターネットのサービス作りの経験はなく、
社会人になってからこれまで僕の経験はというと、
フィリピンのオペレーションチーム立ち上げの一本のみです。
しかもMarketing Researchというかなりニッチな業界の。
ネットサービスにはもちろん興味はあるので、
ある程度の知識はあるのですが、実践経験はゼロです。
そんな人間が自分で会社を持ってるDeveloper、業界経験が何年もあるDesigner、
大企業のMarketerというメンバーを1つチームにまとめるのは易しくなく、
サービスのコンセプト決めにも、
「このアプリはニッチマーケットを狙ってSafety機能に集中しよう」
「いや、そんなんじゃスケールしないから大衆を狙ってSocialなサービスにしよう」
という感じで、みんなが我が強いので好きなことの言いたい放題。
実際、最後の最後までチームの考えを1つにまとめられませんでした。
でも、メンターだった
Guyi Shenや
Terence Puaがディスカッションに入ると、
バラバラだったアイディアが彼らの意見でぐっと同じベクトルようになる瞬間が度々ありました。
それは彼らが単にメンターだからではなく、僕らがアイディア/知識ベースで議論してる一方、
彼らの意見は経験からくる直感ベースで話してるので、意見に何というか重力があったように感じました。
サービスを作る上で、
ターゲットとしているユーザーに価値を感じてもらえるのか、
ユーザーは自分達が意図したように動くのか、
動いてくれたとしても日常的に使われるのか、
など、考えてもわからないことが多すぎます。
なので実際のところ、頭のいい人達があれこれ考えた末のアイディアより、
実践を通じて得た感覚の方がサービス作りでは役に立つんだと思います。
個人的に、この感覚のなさ、実践不足を痛感しました。
自分に何ができるのか
そんな状況もあって、コードも書けなければデザインもできないNon-Technicalな自分に何ができるのか。
これもイベント中に結構考えました。
幸い英語はできるので、プロジェクトマネジメント+最後のプレゼンをすることになりましたが、他のフィリピン人参加者と比べて僕のプロマネ、英語、プレゼンはどれも飛び抜けて良いものはありません。こういったグローバルな舞台に立ってみて自分の強烈な「強み」の欠如に気づき、何と言うかがっくりしてしまいました。
日本の外に出てみると、大抵の場合「日本人」ということは向かい風なんだと思います。
英語力や業界知識といった基礎能力はローカル同等レベルを求められますし、
スキル面ではローカルを遥かに上回るレベルのものを持っていないと「日本人」は必要とされません。
今後日本は沈み続け、アジアは上がり続けます。
そんな波が来たときにうまく乗れるよう、
「日本」に縛られない、スキルレベルでの強みが必要、それも強く感じました。
東南アジアは熱い
正直、イベントに行くまでは、
Startup Weekendだけどフィリピンだし日本と比べてレベルもそこまで高くないでしょ、
とちょっと甘く見てました。
僕が日常生活で会うようなフィリピン人は、日本人と比べるとどうしても教育レベルの差はありますし、自分の頭で考えるのが苦手な受け身な人がマジョリティです。
これはまだまだ発展途上国ですし、国民性の影響もあるかと思います。
ただ、Startup Weekendに来るようなマインドが高く、技術もある様な人は、
日本のベンチャー同様、またはそれ以上の能力があるんじゃないかと思います。
これはちょっと僕自身も衝撃でした。
先ほど挙げた
Terence Puaはフィリピンで
Insyncという会社を立ち上げ、
シリコンバレーの日本人投資家の
Joi ItoやLinkedinのCo-founderの
Reid Hoffmanから投資を受けています。
シンガポールやフィリピンの起業家は英語が母国語のように喋れるので、
日本や韓国のように、海外に閉ざされたエコシステムの中にベンチャーがいるのではなく、
アメリカを始め、その他の英語圏に対してオープンなスタートアップ環境ができているように思います。
彼らが手に入れる情報は翻訳を介さない生の英語の情報ですし、
欧米のVCも言葉の壁なくメンタリングもできます。
作るプロダクトに至っても大抵英語で先に作って、その後必要があればローカルの言語に対応、という感じです。
東南アジアはマーケットとしてはまだまだですし、
シンガポール以外はスタートアップをサポートするような環境が整っていませんが、
最先端をゆく英語圏のスタートアップに対してオープンなエコシステムができつつあります。
それには凄くポテンシャルを感じました。
自分は何をすべきか
先ほど、
日本の外に出てみると、大抵の場合「日本人」ということは向かい風、
と書きましたが、実際、日本人の自分達だからこそ出来ることも多少はあるかと思います。
例えば、ビジネスアイディア作り。
東南アジアのネットサービスは、今後PCではなくスマートフォンを中心にした成長を遂げると言われていますが、実際まだその成功事例は殆どないのが現実です。
多くの起業家が欧米のサービスを真似て作っていますが、それは使っているユーザーにはしっくりきていないようです。
アジアのユーザー心理をしっかり理解して作られたサービス、
という意味では、日本にはその成功事例は山ほどあります。
例えば、今回自分達が作ったプロダクトも
カレログという、彼氏/彼女のGPSロケーションがスマートフォンでトラッキングできるサービスが元になっています。
タイムマシン経営とまではいかなくても、日本で流行ったアイディアの応用はアジアのマーケットでは結構使えるんじゃないかと思います。
そんな感じで、日本人としてアジアのマーケットにどうやって貢献していくか、
これもイベントが終わってからずっと考えています。
自分がいくら頑張ってもその土地で生まれた人以上にマーケットを理解できないでしょうし、
いまから技術を学んでもその道で一流にはなれないでしょう、
そんな状態で自分はどんな道を進んで行くべきなのか。
アジアでビジネスをする以上避けては通れない問いですね。
まだその答えはないですが、
そんな気づきを貰えただけでStartup Weekendに行く価値はあったかと思います。
Startup Weekendは世界各地でほぼ毎週末に行われているようなので、
今度は、自分が何ができて、何をするべきなのか、もっとクリアな状態で参加してみたいと思います。