Saturday, October 12, 2013

【立ち上げ準備 vol.16】小売パッケージ制作 (3)


お店の増築により店内に小さな販売所ができました。
イーコマースを始める前に、まずは店頭で商品を販売してお客様のニーズをしっかり理解するため、最近はこちらの準備に注力しています。

在庫管理や販売促進のポップ作りなど、意外とすることは盛り沢山。
特に大変なのが現地企業を相手にしないといけないパッケージ制作。
前回も書きましたが、デザート用のカップは結局日本から輸入することになりました。
ただ全てを日本から買ってくると大変なコストになってしまうので、
できるものは極力現地で作るのが理想です。

以前、現地のデザイナーから提案を受けるも散々な結果だった紙袋。
まずはこちらから着手することにしました。


まず最初にしたのが紙袋ハンティング。
ホーチミンで集められるだけの紙袋を集めました。

同時に紙袋のサイズ、色、質感、デザインなどをチームで話し合い、
前回見つけた良さそうな紙屋さんと交渉。


価格に関しては落ち着いたので、早速こちらで作った完成イメージのデータを持ってお店のデザイナーに依頼。ただ、ここからが大変でした。

こちらで作った大まかなイメージをAdobeのイラストレーターのソフトに落としてもらうのを後ろから見ていたら、ロゴの大きさも紙の色の設定がもの凄く適当。
全然こちらの用意したイメージと違うのに「これで印刷するけどいいよね?」なんて普通に言います。


心配で仕様がないので、デザイナーの後ろにベタ付きで「それもっと右!フォントは小さく!」と後ろから指示を飛ばします。データを作って、お店に戻ってチームと確認、修正点をデザイナーに伝えるも上手く伝わらず、またベタ付きで指示出し。これが何回か続きました。

データが出来上がっても印刷のクオリティも不安で、「とりあえずチームと確認する必要があるのでサンプルを1つ作ってください」と聞くと、「サンプルは作れるけど、それ以降変更はできないよ」とのこと。
それってサンプルの意味がないんじゃ…なんて思いながらも粘り強く交渉を続けます。

結局、工場に行けばサンプル用に1枚印刷してくれるとのことになり、バイクを飛ばして郊外の工場へ。


工場で待つこと十数分、サンプルらしき紙が登場。


細かく指定していただけあって色は一発OK。
遠かったですが、工場の衛生面も確認できて逆に良かったです。
整理整頓されたきれいな工場でした。

結局、僕自身が不慣れだったこともあり10回以上お店に訪問することになりましたが、
何とか紙袋も納得のいく物ができました。



ただ、こちらの紙袋はサイズとコストの関係で、正式に使用開始するのはもう少し先になりそうです。
いまは4P'sのチーズしか販売できていない味気ない販売所ですが、徐々にバージョンアップ予定です。

【立ち上げ準備 vol.13】小売パッケージ制作 (2)
【立ち上げ準備 vol.12】小売パッケージ制作 (1)

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Sunday, October 6, 2013

【立ち上げ準備 vol.15】販売商品パートナー探し(2)


前回のダラット出張からちょうど1週間経ち、今回もまた夜行バスに10時間程揺られ、コーヒーの生産で有名な街バンメトートに行ってきました。
今回は商品パートナー探しというよりは農業の現場を勉強するための出張でした。以前よりお世話になっているニコニコ野菜の塩川さんの善意で、バンメトートで栽培している無農薬野菜の農場に同行させて頂きました。

ニコニコ野菜は無農薬、無化学肥料を徹底した野菜栽培を生産しているだけでなく、販売まで一環して行っているユニークな会社。社長の塩川さんは僕の2つ上なのですが、ベトナムにはもう10年近く住んでらっしゃりベトナム語も堪能。スタッフも彼以外ほぼ全員ベトナム人です。

ニコニコ野菜の塩川さん

ベトナムの地方に行くとよく目にするのが、一面雪が積もったような白い畑。
この白い粉の正体は実は全部化学肥料です。
また、ゴーストバスターのような格好して霧状の農薬を4~5人が一列で散布している姿なんてみると、これは本当に食品を作っているんだろうかと疑いたくなります。

「ただ単に野菜を作ってるんじゃなく、僕達は安全を作ってるんだ」
という塩川さん。
元々、日本の大学で環境学を選考しており、環境保護そして人間の健康という観点から無農薬、無化学肥料の自然な野菜作りを始められたそうです。

きれいに整備された農場

苗を育てるビニールハウス

有機野菜を食べて育つ豚もいます

そもそも農薬や化学肥料を完全にゼロにすることがいいのかというと、必ずしもそういう訳ではありません。
安全とされている農薬を、基準量を守って使用すれば人体への影響はありませんし、悪天候や害虫に負けず安定的に栽培することができます。また肥料も同様で、有機肥料でなく化学肥料を使用すればコストは20~30分の1に抑えることができ、販売価格も低くできます。

ただ、「これは使っていいけど、これは駄目」のように基準を曖昧にすると、相当しっかりした管理者と管理体制がないと、ベトナムではルールを守り続けることが難しいとのことです。

ニコニコ野菜では、少しずつですが本当に信頼のできる農家を選び、無農薬、無化学肥料農法を取り入れるパートナー農家を増やそうとしています。
今回塩川さんがバンメトートに帰られたのも、そういったパートナー農家との月次定例ミーティングに参加するため。定期的に情報交換や技術指導を行い、生産者ネットワークの拡大を進めているとのことでした。慣行農法から無農薬に変えたところ、生産者やその家族にも害のある農薬の散布を止められただけでなく、売上も倍になった農家さんもいるとのこと。

パートナー農家との生産者ミーティング

パートナー農家の畑を見学

パートナー農家のフイさん(左)

自社農場、パートナーの農場で収穫された野菜は、夕方にニコニコ野菜のオフィスに集められ箱詰めの作業が始まります。まず水で洗って土を落とし、配送中に悪い菌が繁殖しないよう野菜をさっとお茶につけます。そして野菜が傷まないよう発砲スチロールに氷を入れ、ホーチミンの出荷オフィスに送ります。

野菜の収穫。これはいんげん豆。

野菜を洗った後にお茶に通します

1つずつ丁寧に野菜を箱詰め

スーパーで買う野菜を見て分かるのは、値段と賞味期限、あとは色と形くらいでしょうか。日本では公式の有機野菜マークが付いていたり、おいしっくすでは使用農薬○○割減などの情報も公開されています。

ただそういった左脳的な情報よりも、その野菜を作っている生産者の顔がわかることや、今回の様に実際に農場に行って栽培の様子を見学する右脳的な情報の方が何倍も受ける安心感が違います。また心なしかそちらの方が野菜も美味しく感じます。

顔の知っている農家さんから新鮮で美味しい野菜を買う。本来ならそれが理想的な姿なのですが、分業化され便利になったいまの世の中ではそれも無理な話。ただ、テクノロジーを使って生産者と消費者を再び繋げる成功例は世界中でいくつも生まれています。

今回、生産者の方々と会って、話して、お酒を飲んで、そういった世界がベトナムにも早くくればいいのにと改めて思いました。食品はスーパーの棚の前に立つだけではわからない世界がたくさんあります。そんな世界を知ることで、人の食生活は何倍にも豊かになるんだと思いました。

改めまして、今回お忙しい中ご案内してくださったニコニコ野菜のスタッフの皆さん、塩川さん、ありがとうございました!

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Thursday, October 3, 2013

【立ち上げ準備 vol.14】販売商品パートナー探し(1)


ホーチミンからバスに揺られること7時間。
フランス植民地時代に避暑地として開発された高原の街、ダラットが見えてきます。
標高1500m程で朝晩はベトナムとは思えない様な肌寒さ。

そんなベトナムの山奥に、
自然の力を凝縮した優しく力強い味の有機野菜を作っているベトナム人農家がいることを、
思わず笑ってしまうくらい美味しいソーセージを作っているフランス人シェフがいることを、
5つ星ホテルのシェフが驚く程のチーズを作っている日本人職人がいることを、
たぶん殆どの人は知らないのではないかと思います。

そんな「安全で」「美味しい」食品を作っている生産者さんの存在をより多くの人に知ってもらいたい。そんなこだわりの食品を手軽に購入できるようにして人々の食生活を豊かにしたい。Box 4P'sはそういった想いを現実にしようとしています。

今回はそんなこだわりの生産者を訪ねて、ダラットまで行ってきました。
急な訪問だったに関わらず、畑に、工房に、キッチンに快く案内して頂きました。


一番最初に訪問したのがDalat GAPというオーガニック野菜農園。
Global GAPという国際的な野菜栽培の安全管理基準をクリアしている農家です。
製品の安全、環境保護、従業員の労働環境の3つの項目から事細かにチェックリストが設けられており、毎年厳しい審査をパスしています。




よく農家は小売販売用と自分達で食べる用の野菜の畑を分けていると言います。
それは使用する農薬の量が全然違うから。
そんな話を聞いていたので、CEOのビンさんと畑を歩いているときに、おもむろに野菜をもぎとってその場で食べていた姿がとても印象的でした。それだけ安全な野菜を育てている証拠なんだと思います。一緒に食べさせてもらった野菜は今まで食べたことのないくらい濃くて甘い味をしていました。


次に訪問したのがDalat Deliというフランス人元シェフのダニエルが経営するソーセージ屋。
ベトナム人の奥さんと一緒にダラットの住宅地にある丘の上の一軒家を工房兼小売店として、完全無添加のハム、ソーセージ、パテを販売しています。




「市販のソーセージの裏を見ると肉70%とか書いてあるだろ?残りの30%は一体何なんだよな。」とか言いながら、商品を次から次にサンプルとして食べさせてくれて、最後はちょっとしたパーティのようになっていました。

この他にも、竹本さんという日本人が経営する農家でビックリするくらい甘いトマトを作っていたり、元々は機械部品を販売されていた日本の会社が、なぜかダラットの山奥で美味しいマスクメロンを作っていたりします。


そして、当店Pizza 4P'sのチーズチームもダラットからバイクで更に1時間程行った小さな街で、5つ星ホテルのシェフや、チーズの本場フランス人からも絶賛されるようなチーズを作っています。
日本人のチーズ職人が常駐で2人。後は殆ど現地の女性社員です。
毎日500リットル以上の牛乳を使用する肉体的にも大変な作業ですが、毎日新鮮なチーズをホーチミンのお店まで送ってくれています。




残留農薬や中国からの汚染食品など、食の問題が絶えないベトナム。安全で美味しい食品をユーザーに提供したいというのはもちろんですが、こうやって生産者の方々と話していると、彼ら彼女らが想いを込めて作った商品をより多くの人に知ってもらいたいという気持ちも強くなってきます。

ただこの両立は全く不可能なことではなく、無駄な中間業者を飛び越えて、生産者の手元から消費者の食卓を最短距離で繋げ、両者がWIN-WINになるような仕組みをいままさに作っているところです。

これからも引き続き、生産者の顔の見える食品、想いのこもったストーリーのある食品、そして感動的に美味しい食品を探していこうと思います。


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