最近日本でようやくFacebookが注目され始めた。
「これから日本でもFacebookが流行り始めるのか」的な声をよく聞くけど、僕はそうは思わない。
情報に偏りがあるかもしれないけど、Facebookについて少し考えを整理してみる。
まず日本人がどうかと言う前に、Facebookの魅力は何なのか考えてみる。
1. 英語をベースにしたコミュニケーションで世界中の人と繋がれる
2. Wallや写真のアップデートなど、個人情報をかなりオープンにすることで、
友人と簡単に近況報告ができる。また繋がりが薄い人とも実世界で繋がり易くなる
3. ソーシャルゲーム、イーコマースなどのプラットフォームとしてワンストップで様々なサービスが利用できる
4. 企業、または個人でファンページを作成して、コミュニティを形成できる
他にもいろんな使われ方がされているけど、この4つがFacebookの主な魅力かなと思う。
それでははたして日本人に響くのか?
順を追って検証してみる。
1. 英語ベースで世界と繋がる
個人的にFacebookをやっててよかったなと感じるときは、
ボーダレスで友達と繋がっているのを感じる瞬間。
例えば、
・モントレーの大学院を卒業したスロバキア人の友達にお祝いのメッセージを送ったとき
・マニラのクリスマスパーティで会った友達から友人承認メッセージが来たとき
・ボストンに住んでる高校の同級生からメッセージが来たとき
・サンフランシスコに住んでる元ルームメイトから僕が来年いつLAに来るのかメッセージが来たとき
これは全部ここ数日で僕がFacebookで実際に体験したこと。
MixiでもTwitterでもBlogでもできないFacebookの楽しさが、このボーダレスコミュニケーションだと思う。
Facebookは日本語化が進んで、少しずつ会員が増えてきてるけど、
やっぱり使用されている言語はほぼ100%日本語で、コミュニケーションを取る相手も日本人。
結局Mixiのインターフェースを使いやすくして、実名制になったくらい。
それじゃ大して魅力を感じない。
2. 個人情報をかなりオープンにした情報共有
Facebookは最近新しいインターフェースを取り入れて、
個人のページの一番上に、出身大学や現住所、誕生日から何まで、
自分の個人情報がかなり詳細に表示される。
また写真のTag機能は、友人が撮った写真に自分が写っていたとき、
それをTagすることで、その写真が自分のWallにも表示される。
つまり、基本的に無断で自分の写真が自分のページにアップされていく。
もちろん、悪意のある写真はFacebook側または自分で削除することができるが、
その写真を見た友人の友人が自分に友人承認メッセージを送ってきたり、
そういった人間の善意に基づいたオープンさで増幅していくネットワークがFacebookの魅力。
このオープンさは日本でうけるのだろうか。
よく言われることだけれど、「実名制」というコンセプトは日本でFacebookaが流行る相当なボトルネックになっている。
Mixiではプロフィールに殆どの人があだ名を使っているし、自分の写真をネットで公開する人は少数派だ。
なんで日本人は実名制を嫌がるのか?
僕は、こういう現象は日本人の「村人意識」から来ていると思う。
ブログで何か刺激的な内容を書くと炎上したり、
ネット界隈でおかしなことを発言すると2ちゃんで叩かれる。
いわゆる昔でいう村八分みたいなことをされる。
日本のインターネットは謂わば大きな村みたいな存在で、
僕達日本人には個人情報を明かして変なことをしたら村八分の制裁を受けるのでは、
という意識が刷り込まれているように思える。
3. オンラインサービスのプラットフォーム
Zyngaがこの前リリースした
Cityvilleや、
Facebookで爆発的なファンを集めている
Satisfaction Guaranteed など、
Facebookにいけば友達と繋がれるだけでなく、ゲームもできるし、ショッピングもできる。
FacebookはそんなネットサービスのOne stop placeになりつつある。
ソーシャルゲームやイーコマースは日本の得意分野だし、
日本のユーザーにとって、これまで分散されていたネットサービスがFacebookを媒体に集約されるのはかなりの魅力かと思う。
4. 企業、個人のコミュニティ作り
Facebookでコミュニティを作るのは簡単だ。
Fan Pageはものの5分もあればセットアップできてしまうし、
ページのトップにあるLikeボタンを押すとそのコミュニティをフォローすることができる。
アップデートはFeedとしてメンバーに共有できるし、
もしそれが気に入ればWallにコピペするだけで、口コミとしても広がっていく。
Mixiで日記を書くのが疲れて退会していく人が多い中、
いまだMixiにアクセスする人が多いのはコミュニティがあるからかと思う。
このコミュニティの形成、また企業にとったらCRM活動の一環としてFacebookはかなりの魅力を持っているはずだ。
響くこと、響かないことといろいろあるが、果たしてFacebookは日本で流行るのだろうか。
以下3つのシナリオがあるかと思う。
シナリオ1: 爆発的に流行る
英語ベースで世界と繋がるコミュニケーション、
個人情報をオープンにして繋がるネットワーク、
など日本に縁のなかったスタイルのサービスを若い世代が受け入れ出し、
ゆくゆくは大衆的に受け入れられるようになる。
シナリオ2: まぁまぁ流行る
Facebookの実名制で、コンテンツの主な発信源はアメリカという構図は今後も変わらない。
でもそのスタイルは日本では中々受け入れられず、
日本でFacebookを使うのは一部のセグメントに限られ、その界隈で流行っていく。
例えばビジネスマン向けのSNSとしてLinkedinのような使われ方をするかもしれない、
または、個人情報をオープンにしてもいい人、グローバルな生き方をしている人などが主に使うというのもあり得そうだ。
ただ大衆には受け入れられないので、そこそこしか流行らない。
シナリオ3: 流行らない
そもそもFacebookを使う魅力が日本人に響かず、
TwitterやブログがあればFacebookなんて使わないで済むと考える人が主になる。
そもそもFacebookは大衆向けのSNSサービスだし、
日本だけセグメント化されていくようには思えない。
また、Facebookをセグメント化されたSNSとして使うなら、
それ専用のサービスがでてきてFacebookに取って代わってもおかしくない。
最近の流れをみると、世界的にFacebookが流行っているから、
日本もその流れに乗って会員が増えてきた感じがする。
でも実際にアクティブに使えている人は少なく、
TwitterとFacebookを連携して自分のTweetを流し込む、
要は「ソーシャルメディアの面を取る」使い方をしている人が多いんじゃないかと思う。
つまりは、Facebookのページ自体に来て本来の使い方をしている人が少ない。
たしかに日本でもFacebookのコンテンツが翻訳され、付随するサービスの日本語化も進んでいる。
でも、それではいつまで経ってもFacebookの「世界中の人と繋がる」という一番の魅力を感じることなく、日本のFacebookはクローズドなコミュニティのままであり続けることになる。
僕はFacebookはこの世界がグローバル化している代表例なんじゃないかと思う。
英語とFacebookを使うことで、世界のいつどこで会った人とも繋がっていくことができる。
日頃の自分の活動がオープンにFacebook上で記録され、
初めて会った人はそのライフログを通じてその人の人柄を何となく理解することができる。
また、もし明日急にインドネシアに旅行するなんてなったときも、
ジャカルタに住んでいる友達にFacebookでメッセージを送れば、ちょっとした観光案内なんかもしてくれるかもしれない。そんな繋がりがFacebookを使うと可能になる。
結論、英語圏以外のユーザーにとって、
Facebookは国境など関係なくグローバルに生きている人のためのツールなんだと思う。
そう考えると、日が経つ毎に日本というコミュニティに引きこもって、
俗に言う
パラダイス鎖国状態の日本ではFacebookは流行らないと思う。
*メモ1
Facebookに間して面白い比較対象になるのが韓国。
ここ最近の韓国のグローバル化は著しいし、日本は完全に韓国の後ろを行っている。
その韓国で最近Facebookユーザーが急増してるらしい。
http://news.livedoor.com/article/detail/5193071/
*メモ2
世界のSNSマップ。Facebookが131ヶ国中111ヶ国でトップ
http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/06/snsfacebook13-1.html
*メモ3
Facebookは日本に普及するだろうか
http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/09/facebook-d057.html
*メモ4
FacebookのLocalization戦略は世界共通
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nc20080625a1.html